ほとばしる熱いパトスを裏切る「そして理解される」

第五の習慣

そして理解される

第四の習慣のところで、成熟さとは勇気と思いやりのバランスであると定義した。相手を理解するには、思いやりが要る。そして自分を理解してもらうには、勇気がいる。(7つの習慣 P.371)

ただ大人しくウンウン言ってるだけじゃない。主張したいことがあるのだ。

ここで「伝え方」について、重要なポイントが示されています。

自分の考えを相手に伝えようとするとき、ほとんどの人は真っ先にロゴスに飛びつき、左脳を使っていきなり理屈で攻めようとする。エトスとパトスには見向きもせずに、自分の論理がいかに正しいかを述べ立てるのである。
(同、P.372)

順番が大事ということです。
ここで、先に「ロゴス」・「エトス」・「パトス」を解説しましょう。

ロゴス(Logos)とは、「論理を意味し、自分のことを筋道立てて表現し、相手にプレゼンテーションすることである(7つの習慣、P.371)」
Wikipedia「ロゴス」
ロジカルシンキング「論理」

エトス(Ethos)は「個人の信頼性を意味する。他者があなたという個人の誠実さと能力をどれだけ信頼しているか、つまりあなたが与える信頼であり、信頼残高である(7つの習慣、P.371)」
Wikipedia「エートス」

パトス(Pathos)は「感情、気持ちのことである。相手の身になってコミュニケーションをとることだ(同、P.371)」
Wikipedia(英語)「Pathos」

元々は、アリストテレスによって提案された弁論術(レトリック)という金字塔。当時はテレビもYoutubeもないので、政治など街頭での演説が重要にして唯一の手段。どうやったら上手に演説できるか、を解説したものと言われます。
この弁論術で Pathos、Ethos、Logosという三つの角度からの説得を考察している。Pathsは情に訴える、Ethosはその人となりで、Logosは理屈で説得する。アリストテレスはLogosを重んじていますが、同程度にPathosとEthosも無視できないものとして考察している。
それからずっと先、いわゆる、大衆化が進んだ現代の政治は、Logosによる輿論より、情緒的な世論へと切り替わってきているとか。
参考:Wikipedia「輿論と世論」

エトス・パトス・ロゴスの各語について、古典的なアリストテレスの用法と、『7つの習慣』での用法ではちょっと違います。
ただ、これらいずれも重要という点は、両者とも通じています。

つまり「そして理解される」段階で、
いよいよ話すぞ! となったとき
自分がどのスタイルで説得するタイプかを事前に理解しておこう。

そうすることで、Logos=理屈で攻めるタイプなら、先にEthosとPathosを優先させ、嫌味にならない程度に強調することでバランスが取れる。
逆に、Ethosで「俺の顔を立てて!」と攻めるタイプや、Pathosで「どうかどうかよろしくお願いします」と攻めるタイプなら、足りない方を優先し、しっかりと頑張ってLogosを展開。

どのタイプでも共通していえることは、「7つの習慣」を軸にした実践にこだわるなら、“信頼”を基本的な原理にして、話す内容を組み立てることで全てにおいて一貫性を保つことができる。そしてそれは、一貫性という点で極めて有効だ。