処方する前に診断する・4つの自叙伝的反応

第五の習慣

第五の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」を実践するために、これまで自分自身が意識せずに取っていた対応を見直すところから始まります。

1.処方する前に診断する

優秀なエンジニアなら、橋を設計する前に、どれぐらいの力がどのようにかかるかを理解するはずだ。良い教師は、教える前にクラスの生徒の学力を把握しておくだろう。真面目な生徒なら、応用する前に基礎を理解するだろう。賢い親なら、子どもを評価したり判断する前に、まず子どもを理解しようとするだろう。正しい判断をするための鍵は、まず理解することである。最初に判断してしまうと、その人をきちんと理解することは決してできない。
(7つの習慣 P.352)

世の中の原則として、よく分からないのに思い込みや決めつけで判断することはありえない。体調が悪く病院にいったら、1分程度の診察で「あー風邪っすね」と言われたら、あなたはどう思うか。たとえ本当に風邪だとしても、“理解された”とは全く思えませんよね。

2.四つの自叙伝的反応

私たちはえてして、自分の過去の経験、いわば「自叙伝」を相手の話に重ね合わせてしまうため、人の話を聞く際に次の四つの反応をしがちになる。
・評価する  同意するか反対する
・探る    自分の視点から質問する
・助言する  自分の経験から助言する
・解釈する  自分の動機や行動を基にして相手の動機や行動を説明する
(同 P.353)

『7つの習慣』本文には、このあと15ページ分程を割いてたっぷりのエピソードで解説されている。ピンとこない方は本文を一読してみて下さい。

さて、下世話にいこう。
要するに、こうした場合には上下関係ができており、自分の考えや物の見方が絶対正しい、と思っているのだ。「傾聴」で必要なのは、議論されることが正しい/間違っている、は全く関係ない。どうでもいい。
「共感による傾聴」等、これまで紹介した通り傾聴で狙う目的は“信頼口座を増やす”こと。まずは、このことに集中し、どうしても間違っていることならば、ちゃんと信頼口座が増えた段階で修正(自分の考えを伝達)すればいい。

あなたがお医者で、診断には100%間違いがない。かといって、相手からの信頼を得ぬままでは、たとえ診断が正しかったとしても、処方した薬は飲んでくれない。
あなたが、優秀な営業マンで、セールス対応に100%の自信があったとしても、相談してきた後輩の信頼を得ぬままでは、100%の正解は全く実行されない。

相手のパラダイムの理解に全力を向けよう。